世の中には数多くの名作がありますが、心が空虚な時に見たい映画というと
それは私の中では限られたものに絞られてしまいます。心身ともに疲れている
時など、重いテーマを見るのは逆につらいと感じることがあります。最初に心を
空っぽにして見たい映画を紹介しますが、次の項目では心に残った作品、そし
て単純に楽しめた作品を紹介します。まだまだ紹介したいものがありますが、
少しずつ書き足していきたいと思っています。
「点子ちゃんとアントン」 ドイツの児童文学者、 エーリッヒ・ケストナーの原作を映画化したも のだが、こんな心揺さぶられ、また心を暖かく してくれるドイツ映画があったとは驚きでした。 二人の全く異なる境遇の男の子と女の子の 深い友情、そして子どもたちを取り巻く大人 たちの葛藤。何回見ても二人の子供たちの 純粋な心に気持ちが和んでしまいます。 |
「ウィンブルドン」 キルスティン・ダンストと ポール・ベタニー共演によるプロテニス界 を舞台にしたラブコメディだが、ボールを 追う特殊効果が素晴らしい。二人の出会 いから恋愛まで、ウィンブルドンの試合 を通して描き出されるが、その周りの家族 たち脇役の設定も話を盛り上げている。 気分爽快になるお勧めの映画。 あのテニス界の問題児マッケンローが実況 中継の解説者として登場していたのには 驚きました。 |
||
「かもめ食堂」 映画の素晴らしさはお金をかけ て作ることではなく、脚本次第だと思い知らさ れます。この物語自体全く派手さはなく、淡々 と食堂を舞台にゆっくりと時間が流れていき ますが、どうしてこんなに魅入ってしまうのか。 主人公を含めて登場人物が実に個性的では ありますが、それだけではない何かがこの映 画には流れている。この映画を作った人の感 性はすごい。 |
「ノッティングヒルの恋人」 最近の恋愛映 画の中では最高峰だと思います。 ヒュー・グランドの持ち味が脚本と見事に 調和している。また特筆すべきは音楽の 秀逸さと脇役たちの豊かな個性。それら がこの映画を非凡なものにしている。 ジュリア・ロバーツ主演の同じ恋愛映画 「プリティ・ウーマン」、これも評価が高い ですが、ただ私にとっては脚本の貧しさ・ 安易さばかり目に付いてしまいます。 |
||
「クジラの島の少女」 これは心の底から感動 しました。マオリ族の長老の家に生まれなが らも、祖父である長老に認められないでいる 少女の物語。昔ながらの伝統が廃れていく マオリ族の将来を心配する長老が、誰か男子 の後継者を育てようとするが、中々うまくいか ない。そんな中、クジラたちが浜に打ち上げら れ悲痛な叫びをあげる。少女の素朴な演技、 そして伝統の持つ重みと救い。これは本当に 心揺さぶられる作品でした。「風の谷のナウシ カ」の現代版と言っていいかも知れません。 シベリアでも同じクジラを題材とした口承文学 があり、これも最高傑作です。 |
「ロング・エンゲージメント」 恋人が戦場で 亡くなったとの知らせを受ける主人公が、 持ち前の粘り強さと推理で恋人が生きて いるという確信にいたるまでの道程を 描いた作品。特筆すべきはその映像詩と でも言えるような美しい光景。そして 主人公のひたむきで勝気な性格を演じき るオドレイ・トトゥの実力。脚本がしっかり した本当にいい映画です。 |
||
「名探偵ポワロ」 中学生のころから江戸川乱歩やアルセーヌ・ ルパンの本を読むことが大好きでした。推理 ものに冒険活劇が加わったものというので しょうか。大人になってら少し好みが変わって きてシャーロック・ホームズとか名探偵ポワロ など本格的な推理ものが好きになってしまい ましたが、このポワロを演じている俳優さんは 実に素晴らしいですね。面白さというと脇役の ヘイスティング大尉とかミス・レモンが登場 する初期の作品群がお勧めです。 |
「ビーバー」 信じられないほど美しく鮮明な映像で動物 の生態を追っただけでなく、限りなく深い ビーバーへの愛情が基盤になっている傑作。 川にダムを作ることで有名なビーバーです が、その素顔をこのような感動的な映像 で見られるのは凄いことだと思う。しかし、 どのようにしてこのような映像を撮ることが 出来たのか不思議です。 |
||
「デーヴ」 ホワイトハウスという政治の舞台で、一人の 替え玉の男性が繰り広げるハートフル・コメ ディで、見た後に実にさわやかな気持ちに させてくれる一品。日本の政治にもこの主人 公のような誠実な政治家があふれてくれた らどんなに希望が持てるだろうか、と考えさ せてくれます。 |
「シャーロック・ホームズの冒険 完全版」 中学生の頃、ルブランが書いたルパンの 本に没頭していた。本の中でルパンと ホームズが対決する場面があるが、当時 は勿論アルセーヌ・ルパンの味方だった。 そんな私も年齢を重ねていくうちに、いつ のまにか、シャーロック・ホームズの本に 夢中になっている自分を感じた。本の中 のイメージと全く変わらないホームズ像を ジェレミー・ブレッドが演じているこの作品 は、数多くの他のホームズの映画の中 でも突出している。ブレッドの死によりこの シリーズが未完に終わってしまったことが 本当に残念である。 |
||
「アルプスの少女ハイジ」 高校生の頃、このアニメが毎週放映されて おり、欠かさず見ていた。私自身も小さい 頃から、引越しや転校を繰り返していたた めか、ハイジの境遇に自分を重ねて見て いたんだと思う。またそんな境遇の中にお いても、強く明るく、時には病気になって しまうハイジを心から応援していた。後年、 実際の小説も読んだが、これも感動して しまった。私の二人の子どもも小さい頃か から、このアニメが大好きで数え切れない ほど繰り返し見ていたのを思い出す。 |
「コンスタンティン」 私はオカルト映画だけは見ることが出来 ない。体が拒否反応を示してしまうからだ。 勿論、こうなったのはあるオカルト映画を 見て吐き気をもよおしたからなのだが。 ただこの映画は数少ない例外の映画だ。 キアヌ・リーブスの格好よさは抜群だし、 悪魔と対決するなんてある意味凄いこと。。 天使ガブリエルへの設定は反感があるが、 それでも単純に楽しめてしまうのは、やは りキアヌ・リーブスの役のうまさというか 彼の持っている雰囲気が実に見事にこの 映画の中で表現されているためだと思う。 悪魔祓いを行なう神父をエクソシストと呼ぶ が、詳しく知りたい方はこちら |
||
「マジェスティック」 ハリウッドではかつて赤狩り(共産主義排除) が行われていた。そのような時代背景の中 で、共産主義と疑われた一人の脚本家が 記憶喪失、ある町の人々との出会いを通し て何が大事なことか、それに気づくまでの 過程を描いた心あたたまる作品。信念を 持つことに意味を感じなかった主人公が 大衆が見守る裁判の中で、このような裁判 自体間違っていると、投獄を覚悟の上で 主張する場面は、いつ見てもすがすがしい 気持ちにさせられる。 |
「13 デイズ」 ケネディ大統領時代に実際にあったキュー バ危機。これは第三次世界大戦が起こって も不思議でない事件だった。このキューバ 危機の中でケネディ大統領と側近たちが、 どんな重苦しい雰囲気の中で、そして解決 への努力をしたのか実に見事に描きだされ ている。東西冷戦の中で起こった核戦争へ の最大の危機だが、この時の当事者たち は、もの凄い重圧の中で決断しなければ ならなかったに違いない。今だからこそ、 気楽に見ることが出来るのだが。このよう な危機に至る種はまだまだ生き残っている。 |
||
「カーリー・スー」 実の娘でもないのに愛情深く見守り、共に 流浪の旅を続けている男性と小さな女の子。 この二人が「当たり屋」としてぶつかったの が切れる女弁護士の車だった。そこから 物語が生まれていく。この映画の一番の 見所はカーリー・スーという名前の女の子 で、本当に可愛いし、演技力も抜群である。 心を暖かくさせてくれるいい作品です。 |
「県庁の星」 こんなスーパーがあったら直ぐに潰れるだろ うなと思ったのは私だけではないはず。 しかし脚本のうまさと、織田祐二の役柄が 見事に調和している。私の父も海上保安庁 で働いていたが、本当の公務員はもっと真剣 に仕事をしている。嵐の海の中でも命がけ で救助に行く父の姿を小さい頃から見ていた からそれだけはよくわかる。確かに甘い汁を 吸っている公務員もいるとは思うけど、そうで ない人もいることだけは知って欲しい。 ちょっと話がずれてしまったけど、気分爽快に なる映画です。 |
||
「セイント」 幼少の頃、キリスト教の孤児院で育ち、その 中で仲のいい女友達を亡くした経験を持つ 主人公。今は盗賊として活躍するが、その 時に使う偽名は必ず聖人の名前だった。 その彼が一人の若い女性物理学者の発見 した核融合の計算式を盗むよう依頼を受け るのだが、展開が実に面白い。アルセーヌ・ ルパンという義賊を現代に蘇らせたような 感覚を持ってしまい、私個人としては大好き な映画である。 |
「パイレーツ・オブ・カリビアン」 何といってもジョニー・デップの魅力が炸裂 した映画かな。デップの作品はこれ以外にも 魅力的なものがあるけど、これは傑出して いる。私自身、海・船に憧れていた幼少期 を過ごしていたせいか、当然海賊船にも興味 があった。海賊というとなんか血が騒ぐのは 大抵の男の子と同じだと思う。 海賊を題材とした映画はいろいろあるけど、 この映画はそのどれも凌駕していると思う。 |
||
「ひょっこりひょうたん島」 私が小学生の頃、この番組は毎日15分放映 されていた。昔は勿論白黒テレビだったが、 この物語に夢中になっていた。格好いい元 ギャングのダンディーに憧れ、トウヘンボクが 作るラーメンによだれを流し、海賊との戦いに 一喜一憂し、ドン・ガバチョの演説にうんざり し、博士の聡明さに感心し、トラヒゲに笑い・・・ とこんな面白い物語は、当時とても斬新的な ものでしたが、今見てもそれは色あせること はない。当時の映像は残されておりませんが、 熱心なファンが書きとめたノートを基に復元さ れたこのカラー版は私にとって宝物なのです。 |
「デッド・ゾーン」 海外秀作ドラマというと「LOST」「プリズン・ ブレイク」などあるが、個人的にはこの「デッド・ ゾーン」が一番好きである。婚約者がいた 主人公は交通事故で数年間植物人間の状態 だったが、再び目を開けたとき、彼には特殊な 力がもたらされていた。それは人に触ると、 その人の過去や未来が断片的に見えてしまう というものだった。このような設定で一話完結 の物語が始まるのだが、その内容というのか 脚本が実に心温まるものばかりなのだ。勿論 悲しい結果に終わるものもあるが、必死になっ て起こりつつある不幸をなんとか避けようと 行動する主人公にはひきつけられている。 特に好きなのは、自閉症の少年が無実の 父親のために主人公に助けを求める第49話 「ヒーローと悪魔」。 |
||
KAGAYAの「銀河鉄道の夜」 普通この作品はプラネタリウムの丸い球体に映し 出す(全天周映画)ものですが、DVDを通して一 般家庭でも見ることができるようになりました。プ ラネタリウムのドームで全天周映画を最初に見た のが「ザイオン・キャニオン 神々の宝」というも ので、物語のしっかりとした構成もそうですが、ま るで自分が実際に空を飛んでいるという錯覚に 陥ったものです。このKAGAYAの「銀河鉄道の 夜」も全国各地のプラネタリウムのある科学館な どで現在も上映されているので私も見に行くつも りでいます。テレビで見るのと全天周映画で見る のはやはり臨場感と迫力が違うからです。それに この「銀河鉄道の夜」の特筆すべきは、その美しさ にあります。宮沢賢治が遺したこの幻想的な物語、 その雰囲気をそのまま映像にしたと言ってもいい 作品だと思います。 |
「結婚できない男」 阿部寛主演のテレビドラマ。 偏屈、融通が利かない、綺麗好き、などなど まるで自分を見ているような感じだった。 違う点は、社会的地位、金、ルックスがないと いうこと。これは致命的な差であるが。 「マイ・リトル・シェフ」でもいい味を出していた 阿部寛は、三枚目をさせると絶品だと思う。そ の点で「アット・ホーム・ダッド」はいまいちだっ たような気がする。 阿部寛という俳優、たぶん地もこんな感じで はないだろうか。人間として素朴さをもった 俳優だからこそこのような演技が出来ると 思う。 |
||
「カサブランカ」 詳しくはこちら 全編にチェスが登場することはなく、冒頭の部分 だけだが、1942年に公開されたこの名画には魅せ られてならない。ニヒルな顔の下にある、愛した 女性を強く想う気持ち、そして彼女の幸せのため 自らを犠牲にしてしまうほどの、そして国を想う 二つの熱い想い。 カサブランカ…それはまだ独軍に占領されてな い仏領モロッコの都である。 暴虐なナチスの手を脱れてアメリカへ行くために、 1度は通過しなければならない寄港地である。 カサブランカにアメリカ人リークが経営している ナイト・クラブがあり、亡命者たちの溜り場に なっていた。 ある時独軍の将校シュトラッサアは、ドイツ側の 飛脚を殺し旅券を奪った犯人を追ってこの町に 降り立った。 旅券を盗んだウガルテはリークに旅券の保管を 頼んだ。リークはこれをピアノの中へ隠した。 その後フランス側の警察署長ルノオはウガルテ を逮捕した。そのあと、反ナチ運動の首領ヴィク トル・ラスロと妻のイルザ・ラントがやってきた。 2人はウガルテの旅券を当てにしているのだが。 イルザは、この店の経営者がリークであると 知って驚く。独軍侵入直前のパリで、リークは イルザと恋人同士で、2人は一緒に脱れること を約束していた。が、約束の時間彼女は姿を 現さず、そのまま消息を断っていたのだった… |
ここで紹介するのは見終わった後に何故か心に刻まこまれて、いつまでも
余韻が離れなれない映画を紹介します。(工事中)
「ブラザーサン・シスタームーン」 私がアッシジの聖フランシスコと出会う きっかけを作ってくれた思い出の映画。 中世の街並みを背景とし、ドノバンの 素朴な旋律が物語を引き締めている。 一番凄いのは聖フランシスコを演じる 俳優さんの演技。これははっきり言って 演技を超えて、聖フランシスコが乗り 移っているとしか思えなかった。それ ほどすごい。もはや演技ではない。 役に全身全霊を込めた者でないと 到達できないほどの高みに立って演じ ているのだ。他にも聖フランシスコを 描いた映画はあるが、これは最高峰。 |
「ラ・マンチャの男」 この映画だけは熱い想いに目頭が 熱くなる。原作「ドン・キホーテ」を 見事に舞台用にアレンジした傑作。 全編に流れる名曲の数々。特に 「見果てぬ夢」は私の一番の宝物 になっている。この芝居、そして この歌に出会えたことを心から 感謝している。この世で虐げられて いる人間たちのため、一人で立ち 向かおうとするその騎士の夢と 魂。「アラビアのロレンス」でもいい 演技をしていた、ピーター・オトゥール とソフィア・ローレンが素晴らしい。 |
||
「サウンド・オブ・ミュージック」 古典的名作。この映画はマリア・フォン・ トラップによる自叙伝「トラップ・ファミリー 合唱団物語」を土台にしたもの。 「ドレミの歌」「エーデルワイス」など挿入 歌が素晴らしい傑作ミュージカル映画。 私が持っているのはこのオリジナル・ フィルムを修復したニュー・マスターを使用 したものです。大佐の声を布施明がして いますが、なんと言っても「オケピ」のあの 熱唱を思い出します。恐らく布施明の声量 並びに表現力は世界でも通用するどころ か、トップの領域に入るのではないでしょ うか。 この映画こそ普遍的という言葉が一番 ぴったり来ます。 |
「聖処女」 詳しくはこちら フランスの寒村ルルドの貧しく病気がちな農夫 の娘ベルナデッタが、村はずれの洞窟で突然 聖母マリアの出現を受ける。そして様々な疑い の眼を気にせず、聖母マリアの言葉通り地面を 掘ると泉が湧き上がり、そこから奇跡的な治癒 が起こる。このルルドは今では世界的な聖地と して世界中から病を持った方たちなどが巡礼に 訪れています。白黒の映画ですが、ベルナデッタ を演じるジェニファー・ジョーンズが素晴らしい。 素朴で純粋なベルナデッタを言葉にならないく らい美しさで演じきっています。 このベルナデッタの死後30年に遺体を発掘した のですが、全く腐敗しておらず今でも彼女の遺 体は、サン・ジルダール修道院の大聖堂におい て安置され、実際に見ることが出来ます。 神から特別な恩寵を受けた人です。 |
||
「鉄腕アトム」 手塚治虫の最高傑作。私が小学生の頃いつも アトムの番組を心待ちにし、胸をふくらませてい た。中でも心に残っているのが「史上最強のロ ボット」「新かぐや姫」、この時受けた強烈な印象 は未だに私の心に残っている。その他にも「海 蛇島」とか「青騎士」など、どれをとっても素晴らし すぎる。手塚治虫は本当の意味で天才だと思う。 その後の作品「ジャングル大帝」や「ブラック・ ジャック」などすごいものばかりだ。 |
|||
「エミリー・ローズ」 エクソシスト(司教から任命された悪魔祓い を行う司祭)の悪魔祓いを受けた少女の 戦いの記録と、その裁判を描いた作品。 "自己犠牲”とは何かを深く考えさせられ る作品。 この映画は実話を元にしたものですが、 少女の自己犠牲に対して、この少女の 墓には多くの巡礼者が訪れています。 尚、エクソシストを深く掘り下げた文献と して「エクソシストとの対話」という素晴ら しいものがあります。 |