「森に還る日」

星野道夫 写真・文 PHP研究所より引用









その過酷な環境の故、限られた人間しか踏み入れることがなかった

アラスカ。その太古からの手つかずの大自然の中で繰り返される生と

死の世界。森や植物、動物たちの終わることのない営みが今を創造

していることをこの文献は訴えてやまない。

(K.K)





「森の主人公とは、天空に向かって伸びる生者たちでなく、養木と

なって次の世代を支える死者たちのような気さえしてくる。生と死

の境がぼんやりとして、森全体がひとつの意志をもって旅をしてい

るのだ。(本書より)」



さまざまな生きもの、

一本の木、森、そして風さえも

魂をもって存在し、

人間を見すえている・・・・

いつか聞いたインディアンの神話は、

極北の太古の森の中で、

神話を超え、声低く語りかけてくる。

それは夜の闇からの呼びかけが、

生命のもつ漠然とした不思議さを、

まっすぐ伝えてくるからなのだろう。





氷河期も、マンモスを追ってベーリンジアを渡った。

モンゴロイドの旅も、遠い昔の出来事ではない。

一万数千年という過去は、人間の一生を繰り返して

さかのぼるならば、たかだか百代前の私たち祖先の物語である。

氷河期の面影に、人間がたどってきた歴史を振り返させられる。

世紀末を迎え、次の時代が見えてこない今、

氷河はただの美しい風景ではなく、

人間の行方をそっと問いかけてくる。

私たちが生きてゆくということは、

誰を犠牲にして自分自身が生きのびるのかという、

終わりのない日々の選択である。

生命体の本質とは、

他者を殺して食べることにあるからだ。

近代社会の中では見えにくいその約束を、

もっともストレートに受けとめなければならないのが狩猟民である。

約束とは、言いかえれば血の匂いであり、

悲しみという言葉に置きかえてもよい。

そして、その悲しみの中から生まれたものが、

古代からの神話なのだろう。



星野氏の著作「イニュニック(生命)」「Alaska 風のような物語」「旅をする木」「長い旅の途上」

「星野道夫の仕事 第1巻 カリブーの旅」「星野道夫の仕事 第2巻 北極圏の生命」

「星野道夫の仕事 第3巻 生きものたちの宇宙」「星野道夫の仕事 第4巻 ワタリガラスの神話」

「オーロラの彼方へ」「ラブ・ストーリー」「最後の楽園」

また同じく極北の大地とそこに生きる先住民族を描いたリチャード・ネルソンの

「内なる島 ワタリガラスの贈りもの」も参照してください。







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