未来をまもる子どもたちへ




上の画像は双眼鏡(倍率7倍の実視界約7°)で見る春の星空 レグルス 二重星(明るい星)。

しし座 距離・・・77光年(±1)



上の画像は光害のない、そして透明感ある最高の星空を再現したものです

ので、光害などが残るところでは実際にはこのように見えない場合があります。


 




今から77(±1)年前の世界とは?(2011年基点)

遠い昔に船出した星の光は、今それを見ている人の瞳に
映し出され、そしてその心には何が刻まれるのでしょう。


 


1931 満州事変

1932 (日本)五・一五事件

1933 ドイツにヒトラー内閣が成立

   ニュー・ディール政策はじまる
   ナチスのユダヤ人迫害が始まる

1933 (日本)国際連盟を脱退

1934 ドイツに総統ヒトラー(〜1945)

1935 エチオピア戦争(〜1936)

1936  西安事件

1936 (日本)ニ・ニ六事件

1937 盧溝橋事件


 


「夜と霧」 ドイツ強制収容所の体験記録
 ヴィクトール・フランクル著 霜山徳繭訳 みすず書房 より引用

それにも拘わらず、私と語った時、彼女は快活であった。「私をこんなひどい目に

遭わしてくれた運命に対して私は感謝していますわ。」と言葉どおりに彼女は私に

言った。 「なぜかと言いますと、以前のブルジョア的生活で私は甘やかされてい

ましたし、本当に真剣に精神的な望みを追っていなかったからですの。」その

後の日に彼女は全く内面の世界へと向いていた。「あそこにある樹は一人ぽっち

の私のただ一つのお友達ですの。」と彼女は言い、バラックの窓の外を指した。

外では一本のカスタニエンの樹が丁度花盛りであった。病人の寝台の所に屈ん

で外を見るとバラックの病舎の小さな窓を通して丁度二つの蝋燭のような花をつ

けた一本の緑の枝を見ることができた。「この樹とよくお話しますの。」と彼女は

言った。私は一寸まごついて彼女の言葉の意味が判らなかった。彼女は譫妄状

態で幻覚を起こしているだろうか?不思議に思って私は彼女に訊いた。「樹はあ

なたに何か返事をしましたか? -しましたって!-では何て樹は言ったのですか

?」 彼女は答えた。「あの樹はこう申しましたの。私はここにいる-私は-ここに-

いる。私はいるのだ。永遠のいのちだ。」       (本書 「苦悩の冠より)







「つぎはα星のレグルスで、この星には176″も離れたところに7.6等の赤橙色の星がくっつ

いています。6cmで楽に分かれますが、角距離が離れすぎているので低倍率でないとおも

しろ味がうすれます。じつは、この伴星にも13.5等の伴星がくっついているのですが、この

方は小口径ではとてもおよびません。」

「星座ガイドブック 春夏編」藤井旭著 より抜粋引用


「別名コル・レオニス Cor Leonis(ししの心臓)の名のとおり、しし座の胸に輝く美しい白色星

だ。赤味がかったγとくらべると、レグルスの純白がよけいにめだつだろう。ほぼ黄道上に

ある唯一の1等星なので、しばしば月のむこうにかくれることがある。光度1.3度ときわだっ

て明るい1等星ではないが、百獣の王の心臓に輝くことを考えあわせると、なるほど“王の

星”にちがいない。星占いでは王の運命をつかさどる星とされている。近くに8等星がある

が、光度差が大きく、口径5cmでもみわけるのがむずかしい。」

「ほしぞらの探訪 肉眼・双眼鏡・小望遠鏡による」山田卓著 より引用


「1.5等のレグルスに位置角307°、176"へだてて深黄、あるいは赤味がかっただいだい色

の7.6等星がついていますが、なにしろ光度差があり、決してたやすく分離できるわけではなく、

7.5cm100〜200倍ぐらいでためしてください。」

「四季の天体観測 肉眼・双眼鏡・小望遠鏡で」中野繁著 誠文堂新光社 より抜粋引用


 




2012年1月4日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。



今から70年前にあった一つの実話を紹介しようと思います。映像は第二次世界大戦中、敵味方

なく愛された歌「リリー・マルレーン」 です。



☆☆☆☆☆☆☆



ところで、先年、ヨーロッパを旅行中、私は一つの興味深い話を聞きました。どこでしたか町の

名は忘れましたが、何でも、ドイツとの国境近くにあるフランスの一寒村に、今度の大戦中に

戦死した、フランスのゲリラ部隊十数名の墓があるのですが、その墓に混じって、ひとりの無名

のドイツ兵の墓が一つ立っているのです。そしてすでに、戦争も終って十数年経った今日も、

なお、その無名のドイツ兵の墓の前には、だれが供えるのか手向けの花の絶えたことがない

とのことです。いったい、そのドイツ兵とは何者なのかと尋ねると、村の人々はひとみに涙を光

らせながら、次のように話してくれることでしょう。



それは第二次世界大戦も末期に近いころのことでした。戦争勃発と共に、電光石火のような

ドイツ軍の進撃の前に、あえなくつぶれたフランスではありましたが、祖国再建の意気に燃え

るフランスの青年たちの中には、最後までドイツに対するレジスタンスに生きた勇敢な人々が

ありまして、ここかしこに神出鬼没なゲリラ戦を展開しては、ナチの将校を悩ましておりました。

が、武運拙くと言いましょうか、十数名のゲリラ部隊がついに敵の手に捕らえられました。残虐

なナチの部隊長は、なんの詮議もなく、直ちに全員に銃殺の刑を申し渡しました。ゲリラ部隊

の隊員の数と同じだけのドイツ兵がずらりと並んでいっせいに銃を構え、自分の目の前のフラ

ンス兵にねらいを定めて「撃て!」という号令を待ちました。と、間一髪、ひとりのドイツ兵が、

突然叫び声をあげました。



「隊長! 私の前のフランス人は重傷を受けて、完全に戦闘能力を失っています。こんな重傷

兵を撃ち殺すことはできません!」 今まで、かつて反抗されたことのないナチの隊長は怒りに

目もくらんだように、口から泡を吹きながら叫び返しました。「撃て! 撃たないなら、お前も、

そいつと一緒に撃ち殺すぞ!」と。けれど、そのドイツ兵は二度と銃を取り上げませんでした。

ソッと銃を足下におくと、静かな足取りで、ゲリラ部隊の中に割って入り、重傷を負うて、うめい

ているフランス兵をかかえ起こすと、しっかりと抱き締めました。次の瞬間、轟然といっせいに

銃が火を吐いて、そのドイツ兵とフランス兵とは折り重なるように倒れて息絶えて行ったという

のです。 (中略)



しかし、そのドイツ兵は撃ちませんでした。のみならず、自分も殺されて行きました。ところで

なにか得があったかとお尋ねになるなら、こう答えましょう。ひとりのドイツ兵の死はそれを

目撃した人々に忘れ得ぬ思い出を残したのみならず、ナチの残虐行為の一つはこの思い出

によって洗い浄められ、その話を伝え聞くほどの人々の心に、ほのぼのとした生きることの

希望を与えました。ナチの残虐にもかかわらず、人間の持つ良識と善意とを全世界の人々

の心に立証したのです。このような人がひとりでも人の世にいてくれたということで、私たちは

人生に絶望しないですむ。今は人々が猜疑と憎しみでいがみ合っていはいても、人間の心の

奥底にこのような生き方をする可能性が残っている限り、いつの日にか再びほんとうの心か

らの平和がやって来ると信ずることができ、人間というものに信頼をおくことができる・・・・これ

が、このドイツ兵の死がもたらした賜物でした。どこの生まれか、名も知らぬ、年もわからぬ

この無名の敵国の一兵士の墓の前に戦後十数年を経た今日、未だに手向けの花の絶える

ことのないという一つの事実こそ、彼の死の贈物に対する人類の感謝のあらわれでなくて何

でありましょう。(後略)



「生きるに値するいのち」小林有方神父 ユニヴァーサル文庫 昭和35年発行より引用



☆☆☆☆☆☆☆



ナチの残虐行為、特にユダヤ人虐殺(ホロコースト)は、生き残った人々の多くに死ぬまで

消え去ることのできない印を刻み込みました。600万人が犠牲になった強制収容所という

極限状況の中で、フランクル著「夜と霧」では人間の精神の自由さを、ヴィーゼル著「夜」

は神の死を、レーヴィ著「アウシュヴィッツは終わらない あるイタリア人生存者の考察」

は人間の魂への関心を決して絶やさなかったことを、そして大石芳野著「夜と霧をこえて 

ポーランド・強制収容所の生還者たち」では癒すことが出来ない忌まわしい記憶に苦しめ

られている人々を私たちに訴えかけています。しかしそのような絶望的な状況の中でもシ

ャート著「ヒトラーに抗した女たち」に見られる、ドイツ全体を覆う反ユダヤの流れに抵抗し

た人もいたのも事実です。



私自身、家族、国家、主義主張を守るため自分の生命を犠牲にすることとを否定するもの

ではありません。ただ先に紹介した一人のドイツ兵のことを思うと、家族、国家、主義主張

を守るため自分の生命を犠牲にすることとは違う次元に立っているよう気がしてなりません。

それは彼が助けることを選んだその瞬間、彼の未来の人生を、守りたかったものへ捧げる

という意味ではなく、未来へと向かって生きる自分自身に対しての意味を感じたと思うので

す。家族とか国家のためではなく、自分自身の未来に責任を持つために。



しかし、もし私が同じような状況に置かれたら間違いなく銃を撃つ側に立つでしょう。「これ

は戦争なのだ」と自分に言い聞かせながら。ただ、実際に銃を撃った他の兵士はその後

どのような人生を送ったのでしょうか。中には生き残って愛する女性と結婚し子育てをし

幸せな老後を迎えた人もいるかも知れません。ただ彼の意識のどこかにいつもこのドイツ

兵の行為が頭から離れなかったことは確かだと思います。「あの時自分がとった行動は

本当に正しかったのか」と。



この時期、夜の11時頃に東の空から「しし座」に輝く一等星レグルス(二重星)が登ってきま

す。77年前第二次世界大戦突入の時に、この星から船出した光が今、私たちの瞳に飛び

込んできています。当時の世界や人々に想いを馳せながら、春の予感を告げるレグルスを

見てみたいものです。



(K.K)


 


「フラムスチード 天球図譜」恒星社編 より引用







双眼鏡で見る春の星空 双眼鏡で見る夏の星空

双眼鏡で見る秋の星空 双眼鏡で見る冬の星空

天体観測に適した小・中口径の双眼鏡

天体観測に適した大口径の双眼鏡

(映し出されるまで時間がかかる場合があります)

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