「進化しすぎた脳」 中高生と語る「大脳生理学」の最前線
池谷裕二 著 講談社
2016年7月5日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 ある勢力は自身の内なる暴力性に縛られ、他の勢力は外なる現実から目を背けている。 ここ数年、投票用紙にはいつも「棄権(キケン)」と書くが、今回も同じかな。 何か、大平正芳・総理大臣が懐かしい(真逆は小泉)。 国会答弁では「あー、うー」と中々言葉は出てこなかったが、今にして思うと様々な状況を超高速で吟味 していたんだろうね。 アメリカ先住民(インディアン)もそう。 学校で先生から質問されたとき、白人の子供は直ぐ答えを言うが、彼ら先住民の子供は、何故先生が この質問をするのか、その意図など背景を考えてしまう。 だから、直ぐに答えを言わないし、言えない。 先生は、そんな彼らを「頭が悪い人たち」としか捉えなかったけれど、どちらが深い洞察力をもっていた かは明らかだと思う。 「進化しすぎた脳」 中高生と語る大脳生理学の最前線 池谷裕二著 講談社 より以下、抜粋引用。2017年3月10日追記 そうそう、そのためには学習のスピードがあまりに速いと、特徴を抽出できない。たとえば、きみらが池谷という人間を 記憶する過程を考えてみようかな。いま僕は正面を向いて立っているでしょ。その姿だけを見て「これが池谷」というのを 写真のように覚えちゃったとするでしょ。そうすると、次に僕が右を向いたら、その姿は別人になっちゃうよね。そこで、 「右を向いた姿こそが池谷だ」と、もう一回完璧に覚え直してもらったら、こんどは右向きの姿だけが池谷になっちゃって、 正面姿は違う人になっちゃうでしょ。わかるかな。 ふたつの姿を結びつけるためには、〈記憶の保留〉が必要なんだ。つまり、正面姿の池谷を見ても「これは池谷かもしれ ないけど、ここは判断を保留しておこう」。そして、右を向いた池谷を見て「ふーん、これも池谷なんだな。ということはさっき の正面姿との共通点は何だろうか」とまたも記憶を保留する。そうやって、ゆっくりゆっくり脳は判断していくんだ。もちろん 無意識にね。 もし、学習のスピードが速いと、表面に見えている浅い情報だけに振り回されてしまって、その奥にひそんでいるものが 見えてこなくなっちゃうのね。 みんな勉強してて、なかなか覚えられないな、と苦労することがあるかもしれないけれども、それはこの脳の作用の裏返し なんだよね。しょうがないんだ。ものごとの裏にひそんでいるルールを確実に抽出して学習するためには、学習スピードが 遅いことが必須条件なんだ。そして繰り返し勉強することもまた必要なんだね。 |
2013年1月19日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 (写真は他のサイトより引用) 1991年に刊行された柳澤さんの「意識の進化とDNA」を最近読みました。2004年に生命科学者としての 視点を踏まえながら般若心経に迫った「生きて死ぬ智慧」は注目を集めましたが、土台はその十数年前 に芽生えていたのですね。 柳澤桂子さんは前途有望な生命科学者でしたが、その後原因不明の病気で、36年間闘病生活を強いら れます。生命科学者としての目、そして自殺も考えた心の痛み、この2つが彼女の死生観の根底にある と思います。 「意識の進化とDNA」は彼女の専門分野の遺伝子に限らず、心理学、哲学、芸術などの底流にある関連 性について、二人の男女の会話を通して小説風に書かれた読みやすい本です。 彼女は言います。「36億年の歴史をもつDNAが本来の自己である」と。そして意識の進化は「自己を否定 して、宇宙と一体になる。これが“悟り”すなわち宗教の世界である」と考えます。 私自身、“悟り”がどのようなものかわかりませんが、彼女の言う意識の進化は、必ずしも生命に多くの美 を宿すことにつながっていないような気がします。 私たち日本人の基層として位置づけられるアイヌの人々、彼らは縄文時代の世界観を受け継いだ人々 でした。果たして昔のアイヌの人々と現代人、どちらが多くの美を宿しているのでしょう。 美、あるいは美を感じる心とは何でしょう。それは、私と他者(物)との「へだたり」への暗黙の、そして完全 な同意から産まれるものと感じますし、「純粋に愛することは、へだたりへの同意である」と言うヴェイユの 眼差しに共鳴してしまいます。 動物や植物、太陽や月、天の川と星ぼしたち。 現代の私たちは科学の進歩により、この「へだたり」を狭くしてきました。しかし、その一方で峡谷は逆に深 くなり、底が見えなくなっているのかも知れません。それはこの世界の混沌とした状況によく似ています。 世界屈指の古人類学者のアルスアガは、「死の自覚」が今から40万~35万年前のヒト族(現生人類では ありません)に芽生えたと推察していますが、「死」という隔たりを自覚したヒト属にどんな美が宿っていた のでしょう。 私は星を見るとき、あの星団はネアンデルターレンシスが生きていた時代に船出した光、あの星は大好き な上杉謙信が生きていた時代、などと時々思い浮かべながら見るのが好きです。 そこで感じるのは、柳澤さんが問いかけている「36億年の歴史をもつDNAが本来の自己」に近い不思議な 感覚でした。 意識の進化にはいろいろ議論はあるかも知れませんが、柳澤さんの眼差しには宇宙創世からの大きな時 の流れそのものを感じてなりませんでした。 |
2012年2月29日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 |
2012年3月2日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 |
2016年1月17日、フェイスブック(http://www.facebook.com/aritearu)に投稿した記事です。 本日1月17日の夜明けです。 大きな白い鳥を肩に載せて散歩している人に興味が湧き雑談したが、この鳥は話すと言う。 確かに彼が話しかけると良く話す。名前は失念したがキバタンの仲間なのかも知れない。 その方(56歳)は細胞の増殖を抑える研究が主で、動物実験では成功しつつあるものの、将来はがん細胞を 押さえる研究に結びつけたら、と願っていた。 ソニーに勤めていたが、独創的な研究が認められ、今は研究員として東大の研究所で働いている。 ただ、大学の研究員は有期雇用(現在は数年毎の更新)であり、生活が苦しいときはコンビニでバイトをして いますと笑っている。 人の生き方は様々で安定した生活を望む人もいれば、生活が多少不自由であっても探究に情熱を燃やす 人もいる。 彼は後者のタイプだが、その顔に非痛感はなく、「私たちの研究が認められるのは、私が死んだ後になるで しょうね」と、近くにいた彼の息子(小学生)を見ながら笑っていた。 彼とは初対面でありながらも、彼の研究や宇宙(JAXA・宇宙航空研究開発機構)の話まで広がっていったが、 このような名もない数多くの人の土台があってこそ、花咲く土壌が出来ていくのだろうか。 彼と、その息子さんの晴れ晴れしい笑顔に、少しだけ未来への希望を感じた。 |
Forgetful? Distracted? Foggy? How to keep your brain young | The Independent